外国人アルバイト募集の注意点と取り締まり状況

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外国人スタッフ受け入れ時の手続き

「雇用対策法」に基づいて、全ての事業主に、外国人(特別永住者を除く)スタッフの雇入れと離職の際に、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出ることが義務付けられています。案外見落としがちな手続きなので、これを機に気を付けて下さい。以下ハローワークHPより抜粋。

Q1 雇入れの際、氏名や言語などから、外国人であるとは判断できず、在留資格等の確認・届出をしなかった場合、どうなりますか?

A1 在留資格等の確認は、雇い入れようとする方について、通常の注意力をもって、その方が外国人であると判断できる場合に行ってください。氏名や言語などから、その方が外国人であることが一般的に明らかでないケースであれば、確認・届出をしなかったからといって、法違反を問われることにはなりません。

Q2 通常外国人であると判断できる場合に、在留資格等を確認しなかった場合、罰則の対象になりますか?

A2 お尋ねのようなケースは、指導、勧告等の対象になるとともに、30万円以下の罰金の対象とされています。

Q3 留学生が行うアルバイトも届出の対象となりますか?

A3 対象となります。届出に当たっては、資格外活動の許可を得ていることも確認してください。

Q4 雇用保険の被保険者とならない短期のアルバイトとして雇い入れた外国人が、届出期限前に離職した場合、雇入れと離職の届出をまとめて行うことはできますか?

A4 まとめて行うことが可能です。様式中に、雇入れ日と離職日の双方を記載して届け出てください。

Q5 例えば、届出期限内に、同一の外国人を何度か雇い入れた場合、複数回にわたる雇入れ・離職をまとめて届け出ることはできますか?

A5 まとめて行うことが可能です。様式は、雇入れ・離職日を複数記載できるようになっていますので、それぞれの雇入れ・離職日を記載して提出してください。

Q6 派遣労働者についても届出が必要ですか?

A6 派遣労働者についても、届出が必要です。

なお、いわゆる登録型派遣については、派遣先が決定し雇用関係が生じた都度、雇入れの届出が必要となりますのでご留意下さい。

Q7 外国人雇用状況届出の際に、旅券や外国人登録証明証の写しも一緒に提出する必要はありますか?

A7 外国人雇用状況届出制度では、事業主の方が、その雇用する外国人の方の氏名等を確認し届け出るものとされていますが、事業主の方から旅券や外国人登録証明書の写しを提出していただくものではありません。

なお、届出の記載内容の正確性を担保するのは、一義的には事業主ですので、旅券又は外国人登録証明証によりきちんと確認していただき届け出ていただくことが必要です。


気を付けるべき外国人の不法就労

現在、日本国内では多くの外国人が働いています。日本で働く場合には在留資格が必要となりますが、それを持たないまま働いている人も正直少なくありません。そのように、正当な許可を得ない人が働いている状態を「不法就労」と呼びます。

不法就労の内容は非常に複雑で、本人も不法就労と知らずに働いているケースも多くみられます。また、雇用する事業者も、正規の就労資格を持っている人なのかを確認せずに雇用していることもあります。悪質な例になると、不法就労と分かって雇っているケースもあります。

ここでは、不法就労に該当するケースや罰則規定などを紹介します。不法就労者を雇うと、その事業者も逮捕されてしまいます。「知らなかった」では済まないので、雇う前に知らなくてはいけない法制度や規定を確認しましょう。


不法就労とは?

不法就労とはその場所で働く権利や許可がない外国籍の人が、その決まりを無視し違法な状態のままで働いていることを指します。通常、日本に観光目的で滞在する場合、15日以内ならパスポートのみで入国、滞在が可能です。90日以内の滞在になると、短期滞在査証(通称ビザ)が必要になります。

この規定の日数を超えても出国せず、日本国内にとどまり続けると不法滞在となります。そして、滞在する許可がないまま働けば、不法就労になります。注意したいのが、ビザを習得して90日間滞在する資格を持っているとしても、その90日間は就労して良い、ということではありません。日本で働くには別途就労ビザが必要になります。

日本国内で働く為には、第一に入国管理局の許可が必要となります。しかし現状は入国管理局の許可を得ずビザだけで働いている海外の方が大勢います。既述しましたがビザとは、あくまでも90日間だけ日本に滞在できる、という許可であって、就労を許可するものではありません。

日本で働くためには、就労が可能な在留資格を取得しなければなりません。在留資格の内容は27種類ありますが、その中で就労が認められているのは下記の17種類のみです。公用・外交・芸術・宗教・報道・教授・経営管理・法律会計事務・医療・教育・研究・技術 人文知識 国際業務・企業内転勤・技能・興行・技能実習・高度専門職

これらのどこかのジャンルに当てはまる仕事でなければ、不法就労に該当し、処罰の対象となってしまいます。日本で働く場合、働ける職種が厳密に規定されていることが分かります。ただし、例外として下記の人は在留資格がなくても就労可能です。永住者・永住者と結婚している人・日本人と結婚している人・定住者(法務大臣から一定期間住むことを認められている人)

先に紹介した17種類の職種に当てはまれば、何の仕事をしても良いわけではありません。職務内容が17の職種の範囲を超えている場合、または途中で職種を変えた場合は在留資格変更許可または資格外活動許可を取得する必要があります。この許可がなければ、やはり不法就労となります。

例えば、ある外国人が入局管理局から高度専門職や技術職のビザを与えられ、エンジニアとして働いていたとします。しかし、急にその仕事を辞め、飲食店でホールの仕事を始めたとしたらどうでしょう。これは立派な違法就労となります。入国管理局から許可を得た範囲の職種でしか海外の方は働くことができません。新たな職に就く場合には入国管理局にてその仕事の許可を得なければならないのです。

このように、仕事の範囲は細かく決められており、調理の専門職(シェフ等)として許可を得ていた人が、同じレストランで皿洗いや掃除の仕事する、というのも厳密には不法就労になります。この厳密な規定を知らず、就労可能な在留資格をもっているから大丈夫と、知らないうちに不法就労を行っている外国人の人は多く存在します。


不法就労者を雇用したらどうなるのか?

万が一不法就労者を雇用した場合、その事業主に問われる責任は如何なるものでしょうか?不法就労者を雇用している事業者は、「不法労働助長罪」という罪に問われます。不法労働助長罪は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に、又はこれを併科される事もあります。不法就労者を雇用している罪は意外にも重いです。

また、不法労働助長罪は「不法就労者だとは思わなかった・知らなかった」では済まされません。こういった刑法が存在する以上、海外からの人材を雇用するにはその人が不法就労に該当かどうかをチェックする人員も必要となります。


実際の不法就労の例その一

激安スーパーで知られる「スーパー玉出」(本社・大阪市西成区)による留学生の不法就労事件で、大阪区検が入管難民法違反(不法就労助長)の罪で、同社人事部長の男(40)と法人として同社を略式起訴したの対し、大阪簡裁が「不相当」と判断していたことが22日、分かった。結果の重大性などを考慮し、公開の法廷で審理する必要があると判断したとみられる。ともに書類送検されていた男性社長(72)ら2人は、嫌疑不十分で不起訴となった。

起訴状などによると、人事部長は2016年2~5月、複数の店舗でアルバイトとして雇用していた中国籍やベトナム籍の留学生ら12人を週28時間の法定上限時間を超えて働かせ、不法就労を助長したとされる。


実際の不法就労の例その二

外国人留学生を違法に働かせたとして、大阪府警南署は、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いなどで、人気ラーメン店を展開する「一蘭」(福岡市博多区)の吉冨学社長(53)や労務担当の社員ら計7人と、法人としての同社を書類送検した。全員容疑を認めているという。送検容疑は、2017年9~11月、大阪市中央区の2店舗でベトナム人と中国人の留学生ら10人を、週28時間の法定上限を超えて働かせるなどした疑い。
同署によると、各店舗の従業員の勤務時間は本社で管理できるシステムになっているが、規定の時間を超えても改善措置を取らなかった。吉冨社長は「全て本社の各担当部署に任せきりでチェックもしていなかった。責任は経営者の私にある」などと話しているという。同署は11月、中央区の道頓堀店別館でアルバイトとして働いていたベトナム国籍の女を同法違反(資格外活動)容疑で逮捕。本社などを家宅捜索し、実態解明を進めていた。(2018/03/06)


不法就労をさせない為に

上記で見てきたように、どれだけ人材不足の状況であっても不法就労は許される行為ではありません。むしろ折角お店の為に働いてくれている外国人スタッフを大きな危険に曝してしまうことになり、最悪の場合、自国へ強制送還されてしまう展開もあり得ます。この様な雇用主も就労者も不幸なことにならないよう、面接時からしっかり採用者へルールを説明し、ハローワークへの届け出を怠らず、勤務時間に上限のある場合は必ず守る必要があります。

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