失業保険(雇用保険)の基本をわかりやすく解説

——退職後にもらえる金額・期間・手続きの流れ

「退職したら失業保険をもらえると聞いたけど、いくらもらえるの?どうやって手続きするの?」

退職を考えているとき、「失業保険のことをちゃんと理解していない」という方は非常に多いです。「もらえると聞いたことはあるけど、計算の仕方がわからない」「手続きを間違えたら損をするかも」という不安を抱えている方のために、この記事では失業保険(雇用保険の基本手当)のしくみを、できるだけわかりやすく・正確に解説します。

⚠️ この記事について

この記事は2024〜2025年時点の制度をもとに解説しています。金額・条件は変更される場合があります。最新情報は最寄りのハローワークまたは厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。

目次

1|失業保険(雇用保険の基本手当)とは

「失業保険」は正式には「雇用保険の基本手当」と言います。退職後に次の仕事が見つかるまでの生活を支えるための給付制度で、国(ハローワーク)が運営しています。

項目内容
正式名称雇用保険の基本手当(一般的に「失業給付」「失業手当」とも呼ばれる)
もらえる条件失業状態にあり、就職の意思・能力があること(受給中は就職活動が必須)
手続き先住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
費用無料(在職中に支払ってきた雇用保険料が原資)
注意点自動的にもらえるわけではない。申請・手続きが必要

失業保険は「もらえる権利」ですが、「自動的にもらえる」ものではありません。ハローワークへの申請と、定期的な求職活動の報告が必要です。

2|失業保険をもらうための条件——これを満たせば対象

✅ 条件①:雇用保険に加入していた

原則として、退職前2年間に通算12ヶ月以上(会社都合・特定理由の場合は退職前1年間に通算6ヶ月以上)雇用保険に加入していること。週20時間以上・1ヶ月以上雇用されていれば加入対象になることが多い。

✅ 条件②:離職票を受け取っている

退職後、会社から「離職票」が届いていること。届かない場合は会社に催促する。それでも届かない場合はハローワークに相談できる。

✅ 条件③:失業状態にある(就職の意思・能力がある)

「働く意思と能力があるが、職に就けていない」状態であること。病気・育児・介護などで就労が困難な場合は対象外(別の給付を検討)。

⚠️ もらえないケース

・転職先がすでに決まっている場合
・自営業を始めた場合
・病気・怪我で就労できない状態
・申請せずに期限(1年間)を過ぎた場合
・雇用保険の加入期間が足りない場合

3|いくらもらえるの?——給付額の計算方法

失業給付の金額は「基本手当日額」として計算され、在職中の給与をもとに算出されます。計算式は少し複雑ですが、仕組みを理解するだけで自分のおおよその金額がわかります。

📊 基本手当日額の計算の流れ

STEP 1
賃金日額を計算

退職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180日 =賃金日額(交通費・残業代込みの総支給額で計算)

STEP 2
給付率をかける

賃金日額 ×給付率(50〜80%)= 基本手当日額
※給付率は賃金が低いほど高く、高いほど低くなる(逆進的)

STEP 3
月の受給額を計算

基本手当日額 ×約21〜22日(1ヶ月の認定日数) = 月の受給額目安

給付額の目安(参考)

以下はおおよその目安です。実際の金額はハローワークでの計算・確認が必要です。

退職前の月収(総支給額)賃金日額の目安基本手当日額の目安月受給額の目安
月収 15万円約5,000円約3,750〜4,000円約8〜9万円/月
月収 20万円約6,700円約4,500〜5,000円約10〜11万円/月
月収 25万円約8,300円約5,500〜6,000円約12〜13万円/月
月収 30万円約10,000円約6,200〜6,800円約13〜15万円/月
月収 40万円約13,300円約7,500〜8,000円約16〜17万円/月

⚠️ 上限あり

基本手当日額には上限があります(年齢によって異なり、30代前半は約7,300円程度が上限目安)。月収が高い方でも、受給額は一定以上にはなりません。また上記はあくまで目安です。正確な金額はハローワークに確認してください。

4|どのくらいの期間もらえるの?——自己都合 vs 会社都合で大きく違う

失業給付をもらえる期間(所定給付日数)は、退職理由と勤続年数によって大きく変わります。

⚠️ 自己都合退職(転職・一身上の都合)

給付制限:申請後2ヶ月の待機あり(5年以内に2回目以降の自己都合は3ヶ月)

勤続年数給付日数
1年〜10年未満90日
10年〜20年未満120日
20年以上150日

✅ 会社都合退職(解雇・リストラ・倒産など)

給付制限なし:7日の待機後すぐに給付開始

勤続年数30歳未満30〜45歳未満
1年未満90日90日
1〜5年未満90日120日
5〜10年未満120日180日
10〜20年未満180日210日

💡 「特定理由離職者」という選択肢

自己都合退職でも、ハラスメント・長時間残業・賃金未払いなど「正当な理由のある自己都合退職」は「特定理由離職者」として認定されると、給付制限なしになる場合があります。離職票の退職理由欄が重要です。不当な理由コードで処理されていないか確認しましょう。

5|手続きの流れ——退職からもらい始めるまで

失業給付を受け取るまでの流れを、ステップごとに解説します。

1 会社

離職票を受け取る

退職後、会社から「離職票-1」「離職票-2」が郵送されます。通常1〜2週間かかります。届かない場合は会社に催促。「雇用保険被保険者証」も合わせて受け取りましょう。

2 ハローワーク

ハローワークで求職申込み・受給資格の確認

住所地を管轄するハローワークに「離職票・雇用保険被保険者証・写真・印鑑・本人確認書類・銀行口座のわかるもの」を持参。求職申込みをすると「受給資格決定」が行われます。

3 待機期間(7日間)

申請後、全員に7日間の待機期間があります。この間はアルバイトも禁止です。自己都合退職の場合はこの後さらに2ヶ月の給付制限があります。

4 ハローワーク

雇用保険説明会に参加(初回)

申請後に指定される「雇用保険受給者初回説明会」に出席します。受給中のルール・認定日などの説明があります。「雇用保険受給資格者証」がここで交付されます。

5 4週間ごとの認定日ごとに求職活動を報告→給付

4週間に一度の「認定日」にハローワークへ行き、求職活動の実績(応募・面接・セミナー参加など)を報告します。認定されると指定口座に給付金が振り込まれます。

6 就職決定

就職が決まったら「就職届」を提出

内定・就職が決まったら速やかにハローワークへ報告します。就職祝い金(再就職手当)を受け取れる場合があります。

6|知らないと損する——よくある間違いと注意点

❌ 間違い①「退職したら自動的に振り込まれる」と思っている

失業給付は自動的には支給されません。ハローワークへの申請・説明会参加・認定日出席・求職活動報告——すべてが必要です。放置すると受給期間(1年)が過ぎて権利を失います。

❌ 間違い②給付制限中にアルバイトをして不正受給になる

待機期間(7日間)中のアルバイトは禁止です。給付制限中(2ヶ月)は週20時間未満・継続性のないアルバイトなら認められる場合もありますが、事前にハローワークへの申告が必要です。申告なしの収入は不正受給になります。

❌ 間違い③退職理由を会社の言うままにしてしまう

離職票の「退職理由コード」が「自己都合(コード4E)」になっていると、給付制限2ヶ月が発生します。本当は会社都合・ハラスメント・過重労働が原因なのに自己都合で処理されているケースがあります。内容に納得できない場合は「異議申し立て」ができます。

❌ 間違い④転職先が決まった後も受給を続けようとする

就職が決まったら速やかにハローワークへ届け出る義務があります。就職後も受給を続けると不正受給になり、受給額の返還+3倍の罰金・氏名公表などの制裁を受けます。

7|受給中の注意点——できること・できないこと

✅ 受給中にできること

・ハローワーク以外の転職エージェントへの相談・登録
・転職サイトへの登録・求人閲覧
・説明会・セミナーへの参加(求職活動実績になる)
・職業訓練校への申込み・受講
・週20時間未満のアルバイト(申告必須)

❌ 受給中にやってはいけないこと

・就職・内定が決まったのに届け出ない
・週20時間以上の継続的なアルバイト(申告なし)
・自営業・フリーランスとして収入を得る(申告なし)
・認定日をすっぽかす・求職活動を行わない
・病気・怪我で就労できないのに受給を続ける

✅ 転職エージェントの活用は受給中も問題なし

転職エージェントへの相談・登録は、失業給付の受給に影響しません。むしろ、エージェントへの相談や求人応募は「求職活動の実績」としてカウントされます。給付を受けながら効率的に転職活動を進めることができます。

8|転職が早く決まった人は「再就職手当」を忘れずに

所定給付日数の3分の1以上を残して就職が決まった場合、「再就職手当」を受け取れます。早く就職するほどもらえる金額が大きくなる制度です。

残日数再就職手当の額
所定給付日数の3分の2以上残して就職残日数 × 基本手当日額 × 70%
所定給付日数の3分の1以上(3分の2未満)残して就職残日数 × 基本手当日額 × 60%

💡 計算例(月収25万円・自己都合退職・給付日数90日の場合)

基本手当日額:約5,700円。給付日数90日中、60日以上残して就職した場合:60日 × 5,700円 × 70% = 約23万9千円の再就職手当を受け取れます。早期就職はこれだけ有利です。

9|退職・転職の手続き、一人で抱え込まないでください

失業保険の手続きは、知識がないと「損をする」「間違える」リスクがあります。特に「退職理由コードが正しく処理されているか」「給付制限を受けずに済む離職に該当するか」は、判断が難しいケースがあります。

台日商事株式会社では、失業保険を含めた退職後の手続き全般についての相談も、無料でお受けしています。「退職したいけど何から始めればいいかわからない」「失業給付をもらいながら転職活動したい」——どんな状況からでもご相談ください。

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